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音大生の就職「演奏家としての人生と一般就職をした人生」

音大生の就職「演奏家としての人生と一般就職をした人生」

音大を卒業し、一般就職せずに演奏家や個人の音楽教室で生計を立てる場合、
確実に経済面での苦労が必須になります。

もちろん、音楽で暮らしていく目標を否定するつもりはありません。
ですが、いざ生活をしていくとなると、想像以上にお金の壁は高いのです。

1、演奏家のギャランティの相場

音大を卒業したばかりの演奏家は「新人」という肩書きが付きます。
そして、新人価格というものも存在します。

例えば、
「100名規模のホテル会場でのパーティー演奏」

40分の演奏を行なった場合、
大学教授や名のあるオーケストラの団員なら1人10〜30万円のギャラ。

30代〜40代くらいまでの、そこそこ活動している演奏家なら1人8〜10万円のギャラ。

それでは新人は?・・・1人1〜3万円(交通費込み)

これは、あくまで相場であり、主催者との関係性やパーティーの趣旨、
交渉次第でかなりの振り幅となります。

2、1回のパーティー演奏でかかる労力とギャランティ

演奏するメンバーにもよりますが、
選曲はメンバーで相談するか、仕事を引き受けたリーダーが決めます。

もちろん、主催者側から曲のリクエストもあります。

リーダーが選曲し、楽譜を探し、購入するか自分で編曲をします。
その労力は人それぞれですが、
選曲→時間
楽譜を購入または楽器店へ探しに行く→2〜3時間
メンバー用に楽譜をコピーし郵送するか直接届ける→1〜2時間
編曲が必要な場合は、プラスの時間が必要になります。

この時点でリーダーは、6時間働いている事になりますね。

そして、楽譜の購入と郵送・コピー代の経費が4000円だとしましょう。

例えば、3名での演奏で10万円のギャランティだとして、
経費の4000円を差し引いて96000円。
リーダーは多く働いているので、36000円のギャラ、
他の2名は3万円のギャラ。

この労力でやっと3万円の稼ぎになります。

しかし、その中から、交通費、衣装代、飲食代も含まれると、
さらに少なくなります。

3、本番当日

19:00からの本番だとして、
まずは16:00に会場入りし、
PA(マイクなどの音響)チェックとリハーサルをします。

そして、控室へ行き、曲の打ち合わせ、軽食を取り、ドレスに着替え準備をします。

19:00から40分間演奏をし、アンコールの可能性も考えると19:50まで。

控室へ戻り、楽器や譜面台、荷物を片付け、会が終わった頃を見計らって主催者へ挨拶をします。

その時点で21:00近くだと思います。
そうしますと、本番当日の拘束時間は5時間になります。
別日でリハーサルを行っている事が多いので、
その拘束時間や練習の時間を含めると、
トータルで10時間以上になります。

このような仕事が毎週末コンスタントにあれば良いのですが、
パーティー演奏でまとまった収入がある仕事は数ヶ月に1回です。

そして、一番怖いのが、今後もこのようなお仕事をいただける確証がない事です。
恐怖でしかありませんね。まさにギャンブル

4、毎月生きて行く為に必要なお金

・音出し練習が可能な物件の家賃 7〜10万円
・スタジオ代、楽譜代、楽器メンテナンス代などの音楽の経費 1万円
・交通費 5000円
・光熱費、通信費 30000円
・食費、日用品 30000円
・税金

ざっと計算しても、20万円は必要になります。

バイトをすると時間がなくなり練習時間が減ります。
音楽教室でレッスンをしても、最初からまとまった額のお給料にはなりません。

毎月この金額を稼ぐ事で必死になり、
音楽でお金を稼ぐという現実に直面するのです。

5、一般就職した場合のメリット

それは、言うまでもなく「安定した生活」です。

だからと言って、
音楽を裏切った訳でも、
音楽をしなくなる事でもなく、
自分の時間を費やして働いただけの一定な収入を毎月いただけるという事です。

そして、さらに強いメリットがあります。

「福利厚生」
「ボーナス」

これは、フリーランスの音楽家には存在しない、
スペシャルな待遇です。

音楽が最優先の生活も良いのですが、
優先順位が2番目になったとしても、
音楽を愛する気持ち、
続けたい気持ちが否定される訳ではありません。

ボーナスを使って、自分の好きな楽器を購入できますし、
高額なコンサートチケットも購入でき、
考え方一つで、音楽の幅が広がる可能性もあります。

人生の無限大な可能性を自ら狭めず、
より柔軟に視野を広げてみませんか?

一般企業への就職では何が必要か、
どのように行動すれば良いのか分からない音大生の方は、
是非私達にご相談ください。

過去ログ「タフな音大生は一般就職に強い」