音大生にとっては耳慣れた「おさらい会」
でも一般の方からすると、
「おさらい会ってなに?」と、実態の掴めない謎の会に感じることでしょう。
「発表会やコンサートとは違うの?」
と思われるかもしれません。
今日は「おさらい会」について少し掘り下げてみましょう!
1、おさらい会ってなに?
「おさらい会」の厳格な定義はありませんが、
人前で演奏をする「本番」の一つです。
ただし、一般のお客様を招いて演奏を披露する「コンサート」とは少し違います。
一般のお客様には公開せず、同じ門下生同士などで、
日頃の練習の成果を発表し合う、内輪の「勉強会」といった意味合いが強いのです。
「コンサート」ではなく「勉強会」だから、プレッシャーはそれほどでもない?
と思われがちですが、これが意外と逆なのです!
2、「おさらい会」は「コンサート」よりこわい!?
「おさらい会」の聴衆は、自分と同じ音大生や、指導をしてくださる教授です。
場合によっては、普段指導を受けていない教授が複数人いらっしゃる事もあります。
これはもう、試験と同じようなプレッシャーですね!
そして、「おさらい会」の最大の山場は演奏が終わった後に訪れます。
それは「講評」の時間・・・。
教授が、演奏した一人ひとりに対して、その演奏について「講評」します。
門下によっては「講評」は本人のみに伝え、
他の音大生は聴けない場合もありますが、大勢の門下生の前で伝えられることもしばしば。
もちろん(?)、褒められることよりも、
より良い演奏のためのアドバイスであることが多いです。
後輩の前で、先輩が酷評されることもあります。
「おさらい会」の場が凍りますね。
3、聴く力
なぜ、大勢の前で「講評」を発表するのでしょう。
それはその講評が、演奏した本人の為のみでなく、聴いていた他の音大生の為にもなるからです。
・彼の演奏の、どこが良くなかったのか。どう改善したら良いのか。
・演奏を聴いて、自分が感じた感覚が間違いではなかったか。
・自分だったら、演奏された曲をどのように解釈するか。
等々を、講評を聞いて自分なりに理解を深めます。
4、発信する力
門下によっては、教授が講評をするだけでなく、門下生同士で意見を言い合うこともあります。
自分の演奏がどのように受け止められたのかを、直接聞けるのです。
そして重要なのは、
意見を言う為には演奏を深く聴いていないといけない、という事です。
また、感じた事を「自分の言葉」で相手に伝える、というスキルが求められます。
そう、皆さんもうお気付きですね。
「おさらい会」とは、
『演奏する技術』だけでなく、
『聴く技術・伝える技術』を勉強する場でもあるのです。
相手が伝えようとしていることを、深く読み取り、
自分の中の知識や経験とすり合わせ、感じた事を言葉にして伝える。
音楽に限らず、「人の想いを聴く」
とても大事なことを音大生はたくさん経験しています。
社会人になってからも、きっと活かされることでしょう。
過去ログ「音大生の一般就職に必要な強みの探し方」